貧困は自己責任じゃないけど抜け出すには自力が必要
ちょっと前の話題になるけど、桂 春蝶さんのテレビでの「貧困は自己責任」という発言やツイートが話題になっていた。
後を絶たない「貧困は自己責任」発言
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世界中が憧れるこの日本で「貧困問題」などを曰う方々は余程強欲か、世の中にウケたいだけ。
— 桂 春蝶 (@shunchoukatsura) February 20, 2018
この国では、どうしたって生きていける。働けないなら生活保護もある。
我が貧困を政府のせいにしてる暇があるなら、どうかまともな一歩を踏み出して欲しい。この国での貧困は絶対的に「自分のせい」なのだ。
桂氏だけじゃなくて、過去にはホリエモンや元大阪知事の橋本さんなど、たびたび貧困は自己責任だという意見を示す人は少なくなく、そんな発言や行動がでるたびに話題になっている。
「貧困は自己責任」に同意するわけじゃないけれど……
ただこういう人たちの気持ちは、わからなくはない。子持ちや高齢者を除く健康な大人に関してだけど。
というのも、東洋経済オンラインの連載「ボクらは「貧困強制社会」を生きている」なんかで貧困にあえぐ人の生い立ちや現状を読むと、あえて自分から貧困や苦労への道を選んでいるようなどうしてそこでその選択するかな?という人が少なくないから。この記事とかも。
なぜか行く先行く先ブラック企業だったり、見通しが甘いまま正社員の仕事を辞めてしまうとか、それを繰り返したりしている人が少なくないのだ。
また、メディアの中だけじゃなくて実際に友達の友達とかそれくらいの知り合いだと同じような人の話を聞くこともチラホラ。
というか、自分も若干ちょっとそれに近いような……。ただ、私の場合は自分であえてアウトローな道を選択しているわけだけど。
もちろん、選択を誤ることは誰にでもあると思うし、正社員だから安泰というわけではないのだが、一度大変なめにあうと、多くの人はそこで学習して次は同じ状況にならないように努めるものなのだが、貧困にあえいでいる人はそれがうまくできない不器用な人が多い印象だ。
いや、そこで踏ん張ってまともな会社を探せよ〜とか、そんなことにこだわってないでそんなブラック会社早くやめろよう〜とか、そこで家族とか友達とかに助けを求めろよ〜とか、貧乏だからってそんな食事してたら病気になるよ〜ああやっぱり……とか、そんな雇用主明らかにおかしいんだからそんな会社に入っちゃだめだよ〜とか、あまり社会に適応していない私でさえ、もどかしくなってしまう人たちの話が多い。
もう、そんなんじゃあ貧乏から抜け出せないよ!なんてついつい思ってしまうのだ。
でもやっぱり、貧困は自己責任ではない
しかし、それが自己責任なのか?というと、違う気がする。
そもそもブラック企業が存在しなければ?
そもそも最低賃金がもっと高かったら?
そもそもこんなに働きにくい国でなかったら?
失業手当がもっと充実していたら?
医療費の負担がない国だったら?
教育費が無料の国だったら?
もちろん、満足いく社会福祉がそろっている国のほうが珍しいわけで、日本が恵まれている国だという意見もわからなくない(税金は高いけど)。百歩譲って恵まれている国だということにしよう(実際にそう思える部分もある)。
それにしたって、いまだに中小企業のサービス残業がなくならかったり、過労死が後を絶たないということは、とにかく法律が企業や雇用主に対して甘すぎるのは事実。
また、私が最近強く思ったのは、少なくない税金を払っているのに、とにかく社会福祉システムが不透明すぎる、ということ。将来の年金なんて言うまでもないのだが、国民保険なんていくらまで上がるのかわからないし……。
不透明すぎる社会福祉制度
また、30歳を超えて初めて知った国の社会福祉制度も少なくない(私がポンコツだという説も拭えないが)。
若いころは雇用保険の失業給付についても仕組みをよくわかってなくて貰い損ねたこともあったし、失業中は住民税免除の手続きができる(条件はあるけど)とか、年金について(免除申請しても加入期間にカウントされ何分の一かは将来もらえることを最近知った)とか、国民保険(病気やケガで休んだときの傷病手当金があるとか少し前に知った。まぁこれは国保のしおりにも書いてあるのでまだ許容範囲か)についてとか。
他にも、国や自治体からお金を借りられるさまざまな公的な融資制度があることなども、数年前に知ったのだが、今でも知らない人は多いのではないだろうか。
こういうものって、全部自分から調べたり聞いたりしないと知ることができないって、税金払っているのにおかしいと思うのは私だけだろうか。
そもそもナイと思っているものを調べようと思わないし。こういう1つ1つの制度についてちゃんと知識があることで、いざという時に生活を立て直す早さが全然違ってくるし、税金の支払いに対する気持ちとかも違ってくると思うのだが。
それなのに、生活保護なんかについては学校で習った記憶があるんだけど、それ以外のものは記憶にないし(年金や国民保険については習うっけ?でもさわりだけ、みたいな感じだよね?)、今はインターネットで調べることもできるけど、それこそ十数年前までネットもないわけだし。
勉強より大切なことを若いときに教えてくれよ……
そういう社会福祉制度について若い頃にもっとちゃんと教えてほしかった。学校でとか、社会人になるタイミングとか、成人式とかでもいいんじゃないか。会社に入社するタイミングとかでも。
それから、金がなくなったときどうすればいいかとか(公的制度につてやサラ金のシステムについてなど)、結婚してDVにあったらどうすればいいか、失業したらどうすればいいか、会社でモラハラとかセクハラにはったときはどうすればいいか、そういうサバイバルスキルを教えてくれたらいいのに、と思うの私だけだろうか。
学校の勉強よりよっぽど必要だろうよ。
貧困を抜け出すには自分でなんとかするしかないのが現状
んで、貧困は自己責任か問題に戻るけど、やはり貧困は自己責任ではないと思う。
だって、能力も体力もそして受けられる教育や家庭環境も全然違うわけでしょ。国民が全員がどんな仕事でもこなせる器用さと充分な体力があり、就活も余裕でできるスキルと経験があるなら、貧困は今よりぐっと少なくなると思うけど、そうじゃない。
もしそうなら極端な話、社会福祉制度なんていらなくなる。みんながホリエモンくらい稼げたら年金すら必要ないよね?
だから貧困を自己責任で片づけるのは違うと思う。また、シングルマザーや高齢者が職を見つけづらい現状があることを考えるとなおさら。
ただし、現状では、残念なことに貧困にならないようにしたり、貧困から抜け出すには、ある程度自分で何とかするしかないんだよね。
それは、手に職をつけける努力をすることかもしれないし、誰かに助けを求めることかもしれないし、プライドを捨てることかもしれない。もちろん生活保護もその1つ。受給の申請を断られても、死んだり借金まみれになったりする前に、受給の資格があるなら断るほうが憲法違反なわけだからやはりあきらめずに区役所に足を運ぶか、適切な機関などに相談したりらなくてはいけない。もちろん本当は断られること自体がおかしいし、実際は簡単なことじゃないのかもしれないけど。
あとは、ブラック企業にひっかからないようにしたり、少ないお金で生きていけるライフスタイルをみつけたり、副業したり、貯金したり、離婚しても困らないように社会人経験は積んでおいたり、病気にならないように食事に気を付けたり、税金について調べたり、社会福祉制度について勉強したり、働きすぎてカラダ壊さないようにコントロールしなきゃいけなかったり。
そういうことを積み重ねれば、成人している健康な大人であれば、貧困から抜け出すことはできるんじゃないだろうか。
健康な独身の大人が長い間、貧困に陥っているのは、恐らくだけど、自分はダメだから仕方がないと思い込んでいたり、逆に案外自分では不幸だなんて思ってなかったりするんじゃないじゃないだろうか。
ただね、一度貧困に陥ってしまうと、高齢だったり、子どもがいたり、頼れる家族や友人がいなかったり、病気になってしまったり、住むところなくしたりとか何か1つでもハンデがあると、生活を立て直すのはなかなか厳しいと思う。それが1番問題だしなんとかしていかなくちゃいけないんだろうけど、「貧困は自己責任」の一言で片づけてしまう国民がいるなんて話にならない。特に政治家や著名人なんて、先頭きってそれは違うと声をあげなくてはいけない人たちなのにね。