もと二ートのphaさんが、しっかり働いていた
『二ートの歩き方』の著者で知られるphaさんのブログを購読している。
最新の日記では、彼の執筆した記事のお知らせがあり、最後に、こうあった。
最近仕事ばかりしてるなあ……。他に別にやりたいこともないしいいか。
最近仕事ばかりしてるなぁ⁉ 3年だけ働いたのち、二ートをひたすら続け、本を出し、それでも、必要最低限のお金で、マンガやネットをむさぼり続けたphaさん。その後はホンを執筆したり、メディアに寄稿したり、シェアハウスをつくったりしていたが、いよいよこんなセリフがでたのだ!
非常に感慨深い。
phaさんが有名になった当初は、なんで働かないんだ?とか、働かない人が増えたら国がほろびるとか、ただ怠けてるだけでは?とか、心の病気なのでは?みたいな内容のコメントも少なくなかったと記憶している。
ところが。
やりたいように生きた結果、おそらく自分の中でもっともストレスフリーなかたちで、phaさんは働きはじめた。人間て本来そういうものなんだと思う。批判コメントを残した人たちに「どうだ!」っとひとこと言ってやりたい。といっても自分が何かをしたわけではないが。
それだけじゃない。
少し前のphaさんのブログで、こんなことが書いてあり、驚いたことがあった。
東京に来てからよく会うようになった人たちは自分よりもっと生きづらそうな人間が多く、なんとなくそういう人たちの集まりが自然に形成されていった。
家のない奴を家に泊めたり、金のない奴に金を貸したり、警察に保護された奴を引き取りに行ったり、病院に運ばれた奴を引き取りに行ったり、家中の刃物を隠したり、家中の酒を隠したり、自己破産の相談のため法テラスに行ったり、生活保護の申請のためNPOに相談したり区役所に行ったり、死んでしまった奴の葬式に行ったり、消えてしまった奴の部屋を片付けたり、そんな感じのできごとが東京に出てからたくさんあった。
これって、十分、仕事じゃないか。しかも、誰にでもできるものじゃないし、見返りもないのに……。すごい、って思いません?
仕事=お金をもらうこと、ではないのだと改めて、思った。
逆に、お金をもらうためには、あくせく働かなくてはいけない、というわけでもないのだろう。
phaさんが二ートをしながら、ネットで知り合った人や読者にいろんなものをもらてっいたし、「お金をもらうこと」と「仕事」は、必ずしもリンクしてないんだね。
phaさんはいろいろなことを証明してくれた。
あくせく働かず、のんびりしてても生きられることと。
働かないことを肯定しはじめたら人は怠惰になり国が亡びる、なんて説ははうそであること。
生きてさえいればなんとか道が開けること。
わたしは彼と同年代で、彼が有名になりはじめたころ、働きたくない人(というより、働けない人、という感覚のほうが近いが)が自分のほかにいるんか!とびっくりしたことを覚えている。
そんなわたしも、これならなんとかデキる、という、書いたり編集したりという仕事を見つけ、ちょっとだけスキルもついてきて、ここ最近、やっと少しだけ安心して生きられるようになったし、この職種は続けたいなと思っている。
過去には、仕事に行きたくなくて行きたくなくて、泣いていた自分を考えると、生きてさえいればなんとかなるんだなぁ、と思えるのだった。
たぶん、性質的に、わたしも、phaさんもまた、ペースを落としたり、ときには何もしたくないとぐったりしたりするんだろうけど、ま、アラフォーになり、そんな自分にも動じなくなっているはず。年をとるのも悪くないなー。