浅草蛇骨湯の閉業と醜悪なビル建設に思うこと

最近、とても悲しいニュースを目にした。

5月の末をもって浅草の蛇骨湯が閉業するという。

実は、チラッと目にしたことがあったが、信じたくなくて見て見ぬふりしてしまったが、とうとう現実になってしまった。

蛇骨湯とは、江戸時代からの歴史をもつ浅草の銭湯。しかも都内において温泉につかれる大変貴重な場所だった…。

そして閉業の理由が…周辺の再開発によるものだそうで、なんともやりきれない。ホテルを備えた複合ビルが建設されるらしい。おそらくこれ。

 

 

asakusa.keizai.biz

 

都内は、渋谷、虎ノ門、勝どき、神田、立石、高円寺、などなど規模の大小や着手されているものこれからのもの、といろいろだが、もう数え切れないほどの再開発ラッシュである。

もちろん、再開発の中には、耐震問題や街を活性化へとつながるなどメリットや必要があるものもあると思うが…、高円寺とか立石とか、必要以上に無機質なビルでキレイにというのはどうなんだろうと、首をかしげてしまう。

そして、下町情緒が魅力である浅草も。浅草はすでに、ドン・キホーテや再開発の一端として複合商業施設の「浅草ROX」や「まるごとニッポン」などができている。訪日客でも溢れており、多くの観光客が足を運んでおり、これ以上、何をもとめるのだろう。

浅草だけでなく、日光への足となるスカイツリーラインがあり、ホテルができればそりゃあ、儲かるだろう。しかし、江戸時代から続く老舗銭湯を潰してまで金かい!と私はもう憤慨せずにいられない。しかも、蛇骨湯温泉だよ!?都内の古くからつづく温泉。普通の銭湯や飲食店と違って、他の場所でやるということも不可能(もちろんそれだって言葉で言い表せないほど大変なことだけど)。

 

www.jiji.com

 

こちらの記事によると、蛇骨湯さんは再開発の話を拒否して、営業してきたらしい。

「再開発の計画があってね。今年の5月に廃業するのよ。もうずっと再開発の話を拒否して、営業してきたんだけどね。何せ江戸時代からやってんだから。

 でもね、私たちも年を取ったしね。後継者もいないし。大変なのよ、毎日、掃除したりね。他の銭湯では外国人を雇ったりしているけど、トラブルも多いみたいだし。

 残念だけど、仕方がない。続けられるものなら続けたいけど、時代だから…」

しかもさ、リニューアルしたり、訪日客向けに他言語での案内もきちんとしてくれて、ずっとがんばって営業してきてくれて。

しかも、お客さんも絶えず来ていて、多くの人たちに愛されて。落語家さんとか作家などの文化人なども足を運んでいたそうだし。

そんな場所を潰して、この先何が得られるの???教えて???金?金なんて、未来に残らないよ。

後継者もいなくて、お歳を召されたというのもあったのだと思うが、本来であれば、市町村や国や、できれば金もってる企業なども、こういう歴史的遺産ともいえるものを守っている人たちを応援したり支援しなければいけないはず。

それなのに、どこにでもあるような複合ビルを建てるために、廃業を後押しするなんて、私の脳みそでは本当に理解ができない。

 

この記事も興味深かった。

biz-journal.jp

 

まぁもう渋谷とか新宿とかはいいけどさ、下町とかすでにマンションで溢れてる郊外とかさ、そこに複合ビルとかタワマン建てるって、なんかなぁ…、とか。自分が住んでる街も、灰色のマンションばっか建って、ごみごみして窮屈な見た目で、美しくないなぁとか漠然と思ってたんだけど…。この記事の、

 ところが、イギリスの皇位継承権筆頭であるチャールズ皇太子は、超高層ビルがとりわけお嫌いらしい。機会あるごとに超高層ビルについて「醜悪だ」という言辞をのたまう。そのことはイギリス国民には広く知れ渡っているらしい。

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2017/04/post_18778.html
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という箇所を読んで、ああ「醜悪」って言っちゃっていいんだ、って思った。チャールズ皇太子そんなにいい印象ないけど。めちゃくちゃ納得したよ。

私はたぶん、タワマンや巨大なビルに対して「醜悪」と感じていたんだ。

新宿とか渋谷とかがビルであふれていたり、日本が右肩あがりだった頃ならまだわかるのよ。

でも、もう確実にそういう時代じゃなくない?

ちょっと田舎行けば空き家だらけなんでしょ。ますます地方は過疎化して、都会が醜くなる。

でもこの記事の通り、そんなようなこと言ってる日本人て見たことないから(彼氏くらいかな)、「醜悪」って言葉は思い浮かばなかったけど、すごくしっくりくる。

日本が醜悪なコンクリートに塗り変えられるのは、もう止められないのだろうか。

私は老舗が好きでできるだけそういう店に足を運んだりはしているのだが、今回のように、大企業と市町村が決めてしまったことを個人の力で覆すのはほぼ不可能だ。

私にできることは何もないのだろうか。